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公式ブログ “Como esta! BIO PARK”

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ファーブル伊藤の生き物日記「カバの出目太くんがやって来た!」

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 2013年11月6日はカバの出目太くん(1歳1ヶ月)にとっては生まれ故郷の神戸市立王子動物園と大好きなナミコかあさんから離れることになるとても辛い記念日になってしまいました。1年の間お世話をしていた王子動物園のスタッフの方々、出目太くんのファンの皆様には大変申し訳なく思っています。この写真のように多くのスタッフの方々に見送られている光景を見ると切なくなってきますね。(写真提供・どうぶつのくに)
 でも長崎バイオパークとしてはモモ(19歳)の将来のお婿さんを迎える日としての嬉しい記念日となりました。
 11月6日の朝から出目太くんを輸送箱に入れ、ちょうど正午くらいに「今、神戸を出発しました。」と連絡がありました。輸送箱にカバを入れるということは大変な作業になります。私も過去に5頭の子カバたちを送り出していますが、毎回緊張と無事先方に到着してもらいたいとの願いでした。
カバの受け入れといえばモモの前夫であるムーを2000年3月以来になりますので、13年前となります。このため、当園では子カバの受け入れは初めてという飼育員がほとんどでした。カバ担当者も事前に王子動物園を尋ねて出目太くんの飼育環境や性格、えさなどの情報を聞いてきました。
 長崎バイオパークへの到着は11月6日の夜10時でした。土砂降りの雨の中でしたが、すぐに姿を確認したかったので、トラックの荷台から輸送箱を覗くとあまり動かない出目太くんの後姿が見えました。本当はすぐにでも狭い輸送箱から展示場に出してあげたいのですが、夜間のクレーンなど重機の運搬はかえって危険なため、静かな環境で朝を迎えることにしました。
 翌11月7日の朝7時30分頃から作業の準備を開始して9時からマスコミのカメラが待ち構える中を出目太くんは堂々と輸送箱から出てきました。暫くは新しい環境をゆっくり観察するように周りを確認していました。その後、お客様から一番遠い展示場の片隅で寝てしまい、えさにも感心を示さず心配しました。
我々が不安になっている時、カバの群れがいっせいに鳴き出すとそれに応えるように出目太くんも「ブーブー」と鳴いた瞬間はとても嬉しく思わず私も涙ぐんでしまいました。母親や父親と違った声だったと思いますが、カバとして仲間に挨拶したような気がしました。
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 その後の出目太くんですが、当園のカバたちとのエサのメニューが違うため、まだ1頭で飼育していますが、11月11日にお見合いが出来るように壁になっていた板を一部外しました。この時は無関心でしたが、その日の夕方には出目太くんと今年6月に生まれたムサシと舐めあってお互いを確認していた。 やはり、出目太くんはまだ1歳ですからモモの旦那というよりも、ムサシの兄貴分としてまず群れに合流させる方がいいと判断しています。
19歳のモモの旦那として婿入りした訳ですが、まだまだ幼い出目太くんをモモは配偶者(オス)とは認識していない様子です。このため、出目太くんが大人に成長してモモとカップルになるには早くて2年。出目太くんが父親になるのは早くて3年くらいかかるでしょう。気長に出目太くんの成長を見つつ、モモとのカップリングを行なっていきたいと思います。
皆さんもこの18歳年の差カップルを温かい目で見ていてください。