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公式ブログ “Como esta! BIO PARK”

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ファーブル伊藤の生き物日記「21年目に入ったアサギマダラのマーキング調査」

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 毎年ゴールデンウィークが終わると近くの山に向かいアサギマダラのマーキング調査を始めます。アサギマダラのマーキング調査とは野外で捕獲したアサギマダラの成虫の翅に自分で決めた標識を油性ペンで書き、それを放蝶して次ぎにどこかで再捕獲されるのを待つという方法で行います。私はこの調査に参加して、今年で21年目に突入しました。昨年は私の20年目の調査でしたが、、私のマーク個体も全国のマーク個体も大きな移動の成果が出ませんでした。近年、日本から台湾に移動する個体の報告が多く、昨年も当たり前のようにその移動があるものと思われていたのですが・・・・・。生き物の不思議は尽きないもので、それがまた調査欲をかき立てることもあるようです。

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 これは5月25日に今年100頭目のマーキングを行なった個体の写真です。今年100頭目に捕獲した個体は新鮮な翅だったので、遠く南西諸島から長崎に来たものではなく、長崎県内外の近隣で羽化したものと推測しています。今の時期に捕獲した場合はこのような美しい新鮮な個体がほとんどです。しかし、一部の個体は翅の色が褪せて破損の多い個体も混ざり、誰かのマーキングが無いかと期待してしまいます。
 初夏のこの時期に長崎県内でアサギマダラに出会える一番の花はノアザミです。他にエゴやウツギ類、イボタ、ネズミモチなどの花になります。

 アサギマダラは渡りをするチョウとして近年有名になってきました。毎年のようにテレビや新聞などにその移動習性などが報道されています。春に台湾や南西諸島から日本本土に移動して、秋に日本本土から南西諸島や台湾に移動することが知られていますが、それはこのマーキング調査から解明されています。北は北海道から南は台湾までの各地にアサギマダラの愛好家がいて、それぞれマーキングを行なっています。そして標識の付いたアサギマダラを再捕獲して報告するのです。
 
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 しかし、アサギマダラにとって遠方への渡りは大変危険を伴うものと思います。先日も林道を歩いていると落ち葉の間にアサギマダラの死骸を見つけました。胴体が無かったので恐らく鳥に捕食されてしまったのでしょう。アサギマダラの幼虫はアルカロイド系の有毒物質を含むガガイモ科の植物を食べているため、捕食者が少ないと言われていますが、敵はいるようです。

 秋の移動記録と比べると春の移動記録はかなり少ないのですが、今年の新しい移動記録が出たらまたここで報告させて頂きます。皆さんもアサギマダラを見たらマークが付いているか確認してください。マークを読み取れた場合は是非ご連絡ください!あなたがこの小さなチョウの大移動の確認者となるかもしれません。 

 私と妻で行なうマーキング調査の今年の目標数は3年連続の5000頭です。

私の標識である『NBP』マーク個体の移動がたくさんあればいいなと願っています。『NBP』とはもちろん(N)長崎(B)バイオ(P)パークの略です。
今年も11月まで調査に走り回ります!