ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文へ (c)

公式ブログ “Como esta! BIO PARK”

このエントリーをはてなブックマークに追加

ファーブル伊藤の生き物日記「アサギマダラを追いかけて」

アザミで吸蜜♀.jpg
ゴールデンウィークが終わると長崎県内ではアサギマダラが成虫になって活動を始めます。この時を待っていた私は毎年近くのフィールドに出てアサギマダラを捜しています。

アサギマダラというチョウは日本全土で見られますが、その実態は遠距離の移動生活をしていることが今までの調査で判ってきています。春から初夏にかけては台湾や沖縄などの南方から本州・四国・九州に移動して世代交代後の秋には日本本土から沖縄などの南西諸島や台湾など南方に渡って行きます。

このチョウの魅力に引き込まれた私は昨年まで16年間このアサギマダラのマーキング調査を行っています。アサギマダラの翅の白い(半透明)部分に自分のマークを書き込み、次にどこで捕獲されるかを調べることをマーキング調査と呼んでいます。北海道から沖縄県まで多くの調査仲間がいてそれぞれマークをしながら、他人のマークした個体を見つけるという地道な活動です。ただ、子供でも年配の方でもできる楽しい研究でもあります。

16年間で48854匹(年平均3050匹)をマークしていますが、他県に移動して連絡を受けた数が87匹と再捕獲率は低確率なのが現状です。ただ、この中の1匹は遠く台湾で確認させています。チョウには人間の国境は関係ありません。

昨年は初夏に長崎県内から石川県に1匹、大分県に3匹移動し、秋には他県から長崎県内に移動した個体が長野県から4匹、山梨県から4匹、富山県から1匹、大分県から3匹を確認しています。また、長崎県から秋にマークした個体が鹿児島県、沖縄県で9匹見つけていただきました。

今年も5月8日から17年目となるアサギマダラのマーキング調査を始めています。この時期はノアザミに飛来して吸蜜していることが多く、まず近くの林道などでノアザミを捜します。毎年ノアザミが繁茂する場所は同じところが多いので昨年の状態を思い出しながら車で移動しながら丹念に捜していきます。

5月8日にはアサギマダラのオス2匹、14日にはオス1匹を目撃して捕獲しました。3匹共に美しく新鮮な個体だったので、恐らくこの近辺で羽化したものだと感じました。早速、アサギマダラの翅に私のマークを書き込み、本州など更に北へ移動することを願って放しました。

今年の1146匹目のマーク個体は私の通算50000匹目となります。まずこの数字を目指して今年も頑張ります。