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公式ブログ “Como esta! BIO PARK”

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ファーブル伊藤の生き物日記「意外と人気!園内のアカテガニ」

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 長崎バイオパークの園内にはたくさんのアカテガニが生息しています。多くのお客様は園内で自由に活動しているアカテガニを見て驚いているようです。実は園内の隠れた人気者なのです。
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 カニは海や渓流の中に住んでいるイメージが強い人がほとんどだと思います。しかし、アカテガニは違います。園内のいたるところの順路などで見ることができるのです。アカテガニは他のカニよりも乾燥に強く、わずかな湿り気がエラにあれば意外と元気に歩き回っています。特に雨の日には園内でもあまり見ない場所にも積極的に出てきます。先日、飼育事務所の2階の横にあるヤマモモの木に何か動くものがあることに気付き、よく見るとそれは大きなアカテガニでした。高さは4mくらいあると思います。ふと、さるかに合戦の昔話を思い出し、「木にカニが登れるならなぜサルにカニは柿の実を取ってと頼んだのだろうか?楽したかったカニだったのか?」と真剣に考えてしまった自分に思わず笑ってしまいました。
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 園内のアカテガニの主な住みかは園内の石積みの隙間です。まるでアカテガニ専用のマンションのようです。でも近づくとすぐに穴に隠れてしまいます。このため、お子さんたちにはアカテガニを捕まえたくてもすぐに巣穴に入ってしまうため、出てくるのをじっと待っている光景も見られます。
 アカテガニたちはいろいろなところに出没しますが、雑食系のハナグマやカワウソ、ミーアキャットなどのエリアに入ってしまうと食べられてしまいます。時には事務所に入ってきてゴキブリ用の粘着シートで動けなくなっている姿を見ることがあります。
 園内での天敵はゴイサギやカラスなどの鳥類と池に住み着いているウシガエルです。駐車場では車にひかれてしまうことも多々あります。

 ちなみにアカテガニの雌雄判別はオスのハサミがメスより大きいことです。しかし、ハサミが取れて再生した場合は小さなハサミを持つオスもいます。確実なのは捕まえて腹下面を見ることです。
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これがオスです。
♀kaninoura.JPG
そしてメスです。
 写真のように腹下面が「逆V字型」がオスで「逆U字型」がメスです。この逆U字型の部分に卵を産んでしばらく抱えていますので、VよりUの方がたくさん卵を持てるのでしょう。この部分を「ふんどし」や「はかま」と呼ぶ人もいますね。そして7~8月に卵を抱えたメスは大潮の時に海岸まで移動して海に卵を放します。園内のメスガニたちはどこで放卵しているのでしょうか?近くの海だとポートホールン近くまで行かなければなりません。2km近くあるでしょうか?そしてまた戻ってくるのでしょうか?このように考えるとマーキングでもして調査したくなります。

 アカテガニは11月中旬まで活動して寒くなると冬眠しますので今年ももう少しで見られなくなります。春は4月下旬くらいに暖かい日が続くと活動が始まります。アカテガニが園内で見られなくなると、カピバラの露天風呂が始まります。このため、露天風呂でカピバラとアカテガニが一緒に入っている光景は見たことがありません。