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公式ブログ “Como esta! BIO PARK”

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ファーブル伊藤の生き物日記「アサギマダラを追いかけて20年!」

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 2016年は私がアサギマダラという旅をするチョウを追いかけて20年目になります。20年前のアサギマダラの情報は「恐らく移動をしているチョウであろう。」くらいしか分かっていない状況でした。このアサギマダラの翅に油性ペンで標識を書き込んで次にどこで見つかるかというマーキング調査が盛んに行なわれてきたのです。私もこの調査の仲間入りをして毎年3000匹前後に標識を付けて来ました。あれから20年でアサギマダラというチョウについて多くの事実が分かりました。春には台湾や南西諸島から日本本土へ移動し、秋には日本本土から南西諸島や台湾に渡るという生活サイクルが大体判明してきました。まだ、すべてが分かったわけではありませんので多くの研究者と連携して今後も調査をしていきます。
 最初の写真は私の調査姿です。吸血するアブやブユ、ダニ、カを避けるためとトゲのある植物も多いので長袖のシャツに長ズボン、長靴を着用しています。ポケットの多いシャツも便利です。また、網は写真のもの以外に長短5本くらいは車に載せています。このように怪しい姿(?)で山や林道をウロウロしていますので時折、警察官から声を掛けられています(笑)。

 今年は個人的にいろいろありまして、春から梅雨時期まで休みにアサギマダラを追いかけることは出来ませんでした。漸く落ち着いてきたので、最近の休みには佐世保市内の山に出掛けています。昨年までの19年間使用していた私の標識は「バイオ ナガサキ」でした。これは長崎県付近で見つかった時にバイオ関連と連想して園に連絡が入ればと考えたからで、その思惑どおりにいくつも連絡を頂いてきました。しかし、昨年まで3年連続で「バイオ」の標識が台湾に移動していることを考えると調査仲間が推奨している英数字に変更するのが好ましいと考えていました。
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このため、20年目の今年から「バイオ」から「NBP」に変更しました。「NBP」は長崎バイオパークの略です。今年は現在まで通算1600匹に標識をしていますが、今のところ、移動して発見された例はありません。
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 8月17日に休みを取って佐世保市内の山で標識をしていたところ、3枚目の写真のように私のマーク以外の個体を見つけました。これを再捕獲といいます。標識には「上五島MGS 999 7/22」と書かれています。これは長崎県五島列島で7月22日に標識去れた個体と読み取れます。早速、標識者に連絡を取ったところ、大変喜ばれていました。私としても今年初めての再捕獲ということと、標識者のお手伝いが出来た喜びでした。移動距離は74kmとなります。
 秋にはたくさんのアサギマダラが本州などから南西諸島に向けて通過していきます。多くの個体に標識して例年以上にたくさんの移動例が出れば私としては最高の喜びです。