公式ブログ “Como esta! BIO PARK”
ファーブル伊藤の生き物日記「雌雄型のオオクワガタ登場!」
2015年も4月25日(土)から「世界のカブト・クワガタ展」が始まります。以前は夏休みだけ行なっていましたが、近年は人気が高いためゴールデンウィークから始まるのが定番になっています。
そして今年の展示で注目していただきたいのが、今回初めて入手したマヤシロカブトです。
他シロカブトよりもヘラクレスオオカブトによく似ている種類ですが、2003年に新種として発表されたため、まだ馴染みの薄いカブトムシです。メキシコやホンジュラスなどの中央アメリカに分布しています。
また、もうひとつの注目昆虫が表題の生きた雌雄型のオオクワガタです。
まず雌雄型について説明致しましょう。
雌雄型(雌雄モザイクgynandoromorph)とは簡単に説明すれば1つの個体にメスとオスの形態が現れる現象です。しかし、その出現の形は左右にはっきりと分かれる場合や一部だけ別の性の特徴が現れるものなど様々です。チョウやカブトムシなど昆虫類に多く発見されているようです。
このオオクワガタは飼育繁殖した個体です。完全な左右の分かれた雌雄型ではなく、一見すると右大アゴが折れているオスに見えます。しかし、右側の大アゴの形状と触覚と目の位置、右前脚の大きさ、前胸の上部の表面などにメスの特徴が出ているのです。
昆虫館の展示では通常のオオクワガタのオスと並べて展示していますので、その違いを見比べることが出来ます。
雌雄型と言えば、1997年7月28日にバイオパーク近くの雑木林で私の長男の俊太(当時9歳)がノコギリクワガタの雌雄型を採集したことがありました。
左半分がオスで右半分がメスという完全に左右で分かれる雌雄型でした。この時は私も雌雄型にすぐに気付かず、子供に「大アゴが折れているみたいだから放そうか?」と言ったくらいです。すぐにその変異に気付いた私は夏なのに鳥肌が立ち、9歳の子供に分かるように落ち着いて説明しましたが、「なんだオカマじゃん!」と驚きもせず笑っていたことを思い出します。
このほかに「世界のカブト・クワガタ展」ではミヤマクワガタとツシマヒラタクワガタの雌雄型も展示しています。ミヤマクワガタ(左メス・右オス)は長崎市内で採集されたもので、ツシマヒラタクワガタ(左オス・右メス)は飼育飼育繁殖個体です。両方共に完全な雌雄型と言って良い個体だと思います。
これらは長崎県西彼杵郡時津町在住の山之内豪樹様より提供されたものです。
オオクワガタの生体、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、ツシマヒラタクワガタの標本と4種類の雌雄型が一同に展示しています。
今年はゴールデンウィークの後半である5月2~6日に世界のカブト・クワガタの生体販売を地元の昆虫販売店(カブト虫の森)が行ないます。人気のヘラクレスオオカブトやコーカサスオオカブト、オオクワガタなど20種類以上の昆虫が販売予定です。例年同様500円くじも登場するようです。何が当たるか楽しみですね。
また夏休みはタッチングコーナーやヘラクレスオオカブトとの撮影、8月は再びカブト虫の森の昆虫販売なども計画しています。
他にも昆虫好きには楽しいことがたくさん予定している2015年です。お楽しみに!!
ファーブル伊藤の生き物日記「春の昆虫」
4月に入り長崎バイオパークの園内でも昆虫たちの活動が始まっています。
一番目にするのはアメンボが水面を泳ぐ姿です。アメンボは3月中旬くらいからで、だんだんその数を増しています。成虫で越冬するのですが、暖かくなってどこからか次々と現れます。一番観察しやすいのがカピバラの池でしょう。すでに多い日は50匹くらい観察しています。
1匹だと思って良く見ると脚の数が多いことに気が付きます。オスがメスの上に乗り、メスを他のオスから奪われないようにしているようです。時々1匹が近寄ると体当たりをして追い払います。
また、別の池を網で探ってみるとクロスジギンヤンマの幼虫(ヤゴ)が採れました。
他にもミズカマキリを複数採集しました。
池の泥が付着しているので秋から今まで水中で越冬していたようです。
草むらには羽化したばかりのシオヤトンボが翅を休めていました。トンボは一般に夏や秋のイメージの昆虫ですが、春に最初に羽化するトンボはいつもこのシオヤトンボです。春トンボと改名したいくらいの春のトンボです。
次に出てくるのがニシカワトンボです。この時期は道端で日光浴をしている姿を見ることが出来ます。4月6日には南西諸島などから飛翔してくるウスバキトンボも確認しています。
他にも成虫越冬したキチョウも園内で撮影出来ました。なお、園内ではこの春に見られた昆虫で美しいハンミョウやアゲハチョウ、クロアゲハなどは動きが素早くて撮影出来ませんでした。春だけに現れる可憐なツマキチョウも見かけましたが全く静止せずに飛び去ってしまいました。
これからの時期は昆虫など生き物が活発になっていきます。園内でも様々な生物たちの営みが見られるでしょう。個人的にはわくわくのシーズンが始まります。
新着エントリー